記録と資料を照らし合わせる

残業代請求を考えたときに、先にそろえる記録

準備の中心は、1種類の記録だけに頼らず、客観的な資料と自分の勤務ログを日付ごとに照らし合わせられる形にすることです。

「請求できるのだろうか」と考え始めた段階で、いちばん時間がかかるのは資料集めです。

そして、集めたあとに困るのが照合です。タイムカードは18時、実際に職場を出たのは21時、給与明細の残業時間は月10時間。この差が何日分あるのかを、日付ごとに確認できる状態にしておく必要があります。

1種類の記録に頼らず、客観的な資料と自分の勤務ログを突き合わせられる形にしておく。 まずはここまでを準備します。

この記事の範囲

一般的な記録整理の方法と公的情報を案内します。請求できるか、いくらになるか、どの手続が適切かは個別の契約や勤務実態で変わるため、ここでは判断しません。

手元に集められる資料の例

厚生労働省の資料では、次のようなものを保存しておく例が挙げられています。

  • タイムカード、シフト表、出勤簿
  • 給与明細
  • メール、SNS、チャットのやり取り
  • 業務のメモ、日報
  • 録音

これに加えて、パソコンの使用時間の記録など、勤務の実態を示す客観的な記録があります。厚生労働省は、労働時間の把握について、こうした客観的な記録による確認を基本として説明しています。

まず、いま手元にあるものを消さないこと。原本や元データは残したまま、整理用の写しを作ります。

自分の勤務ログが担う役割

客観的な資料がそろっても、そこに直接写らない時間があります。打刻後の作業、持ち帰った作業、休日の対応です。

自分の勤務ログは、それらを日付に結びつける役割を持ちます。

  • 実際に職場を出た時刻
  • 勤怠システムへ入力した時刻
  • その日に続けていた業務の内容
  • 関連する画像や、当日のうちに残した音声メモ
  • あとから修正した場合の理由

厚生労働省のガイドラインでは、使用者の指揮命令下に置かれていた時間かどうかは客観的に判断されると説明されています。自分のログは、その判断に関係する資料を日付ごとに並べるためのものです。単独で結論を出すものではありません。

照らし合わせの手順

  1. 期間を決める:対象にしたい月を先に区切る
  2. 日付順に並べる:自分の勤務ログを、月ごとに並べる
  3. 客観的な資料を重ねる:タイムカード、給与明細、PC使用記録などを同じ日の欄で確認する
  4. 差がある日を抜き出す:その日のメモ、画像、音声を一緒に確認する
  5. 不足を明確にする:記録がない日は空欄のまま残し、事実と推測を混ぜない
  6. 共有用に書き出す:PDFかCSVへまとめ、原本とは分けて保管する

この段階で、記録の抜けにも気づきます。抜けは、手元の資料から思い出せる範囲だけを補います。分からない時刻を正確なものとして作らないことも大切です。

時効については、公的情報を確認する

賃金請求権の消滅時効について、厚生労働省は、2020年4月1日以降、5年へ延長したうえで、当分の間は3年とする旨を説明しています。

ただし、いつから数えるか、自分の状況へどう当てはまるかは個別に確認が必要です。期限が気になる場合は、下記の公的な説明を確認したうえで、早めに相談窓口や専門家へ相談してください。

厚生労働省「賃金請求権の消滅時効」

公的な相談窓口を使う

労働基準監督署のほか、厚生労働省の「労働条件相談ほっとライン」などで労働条件に関する相談ができます。

月ごとに整理した勤務ログと、手元の客観的な資料がそろっていると、自分の状況を時系列で説明しやすくなります。どの資料を持っていくべきか分からない場合も、先に窓口へ確認できます。

労働条件相談ほっとラインを確認する

勤務ログを日付ごとに整える

「退勤時間チェッカー」は、時刻、勤怠入力上の時刻、業務メモ、画像、音声を1か所へまとめ、必要なときにPDFとCSVで書き出せます。記録は端末内に保存され、雇用主や第三者へ自動送信されません。

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よくある質問

アプリの記録があれば請求できますか。

アプリに請求の機能はありません。残せるのは、日付ごとの勤務ログと関連資料です。請求の可否、金額、進め方は、公的な相談窓口や専門家へ確認してください。

在職中でも記録できますか。

自分の勤務状況を日々記録する用途で使えます。記録は端末内に保存され、自分が共有操作をするまで外部アプリへ渡りません。

PDFとCSVは何が違いますか。

PDFはそのまま読める形で確認したいときに、CSVは表計算ソフトで並べ替えや集計をしたいときに向きます。渡す相手と目的で選びます。

位置情報の記録があれば、勤務時間になりますか。

到着・退出のイベントだけで、実際の労働時間が決まるものではありません。電波環境などによる誤差もあります。タイムカード、PC使用記録、業務内容などとあわせて確認します。

出典・確認資料